和の世界観を伝える舞踊家・坂東 遥 珠玉の2003年作品


「LEIMEI−黎明−」によせて

私は長年、古典舞踊の継承をしながら日本舞踊の新しい可能性と発展を求めて、幾多の創作活動を続けて参りました。そして踊りの中に在る「快」と「気」に触れ、芸能表現が人の心身に与える大きな影響に注目し、心と身体のバランスをテーマに編み出したのが「吉祥大和舞」でございます。
「吉祥大和舞」はその表現の可能性はもとより心身のバランスを整えることによって心を浄化し健康を維持するという、現代社会のニーズにも応える21世紀に相応しい舞踊と存じます。
「LEIMEI」は前回の「ヒノリ伝説」の主題をさらに発展させ「舞」を通じて「快(こころよさ)」へと表現を昇華させる、新たな挑戦です。演じる側見る側共に、劇場を離れた後も「生命」の暖かさ、豊かさ、そして愛おしさをそれぞれの生活の場面で瑞々しく持ち続けることができればとの思いにて、上演いたします。
素晴らしい時を皆様と分かち合えますことを祈りつつ、

あるがまま ないがままに この世は美しい

坂東 遥





■公演概要
●上演演目
坂東 遥の吉祥大和舞公演「LEIMEI」-黎明-
 構成・振付 坂東 遥
●上演主旨
現代は全てのことが科学によって解明されようとしています。しかし、科学が進歩発展し、
神秘の扉が開かれれば、開かれるほど人の不安は深まり、心のより所を求めるのではないでしょうか?
神秘に対する恐れや期待、あるいは不合理。それらを取り除き、心の安寧を得ようとするのが私達人間です。
それらに合理性を持たせ、責任を分担してもらう為に、哲学や神様を生み出して参りました。

勿論、私達は哲学や神様の話をしようとしている訳ではありません。
私達に許された肉体の表現『舞』の創作を通じて演じる側も見る側も、『快(こころよい)』瞬間を積み重ね、
共有し、劇場を離れた後も『生命』の暖かさ、豊かさ、そして愛おしさをそれぞれの生活の場面で
瑞々しく持ち続ける事ができればとの思いより上演いたします。
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●物語
優しさと冷徹さを併せ持つ、宇宙の女神が、何も無い空間に一人の少女LEIを誕生させます。
彼女は、自分に与えられた役目を知らぬまま、多くの仲間を大地に呼び覚まします。
しかし、少女はいつしか乙女の身体に成長し、戸惑い悩みます。清水を浴び、少女は再生の時を迎え、
再び平安の日々が訪れます。そんな少女の不安を癒すのが、尽きぬ泉です。
ある日、いつものように太陽が輝く筈なのに、星がきらめく筈なのに、突然それらは姿を隠し、『触』が始まりました。
この天変地異にLEIも生命たちも不安に襲われます。同時に、暗黒世界に登場する『力』は、
生命達に襲いかかり、滅ぼそうとします。
そして・・・。
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●構成
全体は一幕構成で、さまざまなシーンの展開に忘れ得ぬ印象がちりばめられます。
主演は坂東 遥自身で、その繊細さと強靱な舞台表現は和の世界観への新たなる提案でもあります。

その他出演者は遥の妹でもある、もと宝塚の花組組長の坂東白鈴(宝純子)、音楽家としても活躍中の
坂東華(COCO華)他が参加。
坂東三姉妹はその華やかさと共に、幼時より舞踊・演劇・音楽の素養を積み、功を成したことで
賞されております。
音楽には、映画『青いパパイアの香り』の音楽監督を父とするベトナム系フランス人アーティスト、AAKENが
参加いたします。
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